半導体バブルにより九州と山口で製造装置メーカーが大幅受注増。熊本が九州の覇権を取る日も近いと話題に

半導体製造装置「想定超える受注増」、閉鎖予定だった工場も稼働延長…九州で生産増強

九州・山口で半導体製造装置メーカーが生産能力を増強している。
半導体をつくるために必要な加工や組み立て、検査などを行う装置で、部品メーカーの裾野も広い。
半導体メーカーの投資拡大を見据え、「シリコンアイランド九州」の復活に向けて産業の厚みが増している。
産業機械メーカー、平田機工（熊本市）の本社工場で11月末、クリーンルームにずらりと並んだ数十台のウェハー搬送装置が出荷を待っていた。
円盤状のウェハーを載せて次の工程に移すロボットで、ウェハーを傷つけず、高速で運ぶ精密な技術力が求められる。
半導体事業を統括する平川武則執行役員は「想定を超える受注増で工場はフル稼働だ。
多くのメーカーが投資を増やしており、市場拡大の期待は大きい」と、閉鎖予定だった楠野工場（熊本市）の稼働を延長した。
県内工場の増設も計画しており、半導体分野の売上高を2024年度までに4割引き上げる方針だ。
基板表面を研磨する「CMP装置」で世界2位の荏原製作所（東京）は、熊本県南関町の事業所に3棟目を新設する。
取引がある台湾積体電路製造（TSMC）の熊本工場が本格稼働する24年末までに生産能力を1・5倍に増強し、
「自動運転車や人工知能（AI）で拡大する需要に応える」（浅見正男社長）考えだ。
薬剤でウェハー表面を加工する装置を手がける日立ハイテク（東京）は240億円を投じて山口県下松市の拠点に製造棟を新設し、25年4月に生産能力を2倍に引き上げる。
地元メーカーのくまさんメディクス（熊本市）は熊本県合志市と大津町で新工場を建設しており、菊池市でも工場用地の取得を計画している。
日本政策投資銀行によると、今年4月までの約3年間で、九州で製造装置関連の新増設が少なくとも15件に上っている。
(中略)

◆海外大手も九州で生産体制強化
海外の大手メーカーも九州で生産体制の強化を図っている。
ウェハーに回路を焼き付ける露光装置の世界最大手、オランダASMLは
今年9月、設置や保守・点検などの支援拠点を熊本県の益城町から菊陽町に移転し、拡張した。
TSMCとの取引拡大を目指し、人員を10人から60人規模に増やす。
2024年夏に熊本県内に倉庫を新たに整備する予定だ。
半導体製造装置の世界3位、米ラムリサーチは今夏に装置搬入などの支援拠点を大津町内で移転・拡張した「熊本サービスセンター」を開設。
TSMCと同じ台湾・新竹市に本社を置く「ハーメスエピテック」は24年にTSMC向けの拠点を大津町に設ける予定だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1560a3a86dc4726cba424579483e884f2f84fa2b