タイ人が日本人になりすまして犯罪、逮捕。警察と検察、起訴まで見抜けず

飲食店で現金などが盗まれた窃盗事件を巡り、大阪府警と大阪地検は１２日、タイ国籍の少女（１７）を、日本国籍の成人女性だと人定を誤って逮捕、起訴していたと発表した。少女は女性の身分証明書を示してなりすましていたが、府警と地検は十分に確認せず見抜くことができなかった。

発表などによると、少女は２月２６日未明、大阪市内の飲食店で現金やキャッシュカードの入った財布を盗んだとして、同日、府警南署に窃盗容疑で緊急逮捕された。逮捕当時、少女は２０歳代の女性を名乗り、その女性の身分証明書を示した。少女はそのまま３月１７日に起訴されたが、少女から打ち明けられた弁護人が今月５日に地検に連絡し、発覚した。少女と女性は知人ではないという。

　逮捕当時、少女は自身の身分証明書も所持していたほか、女性からは身分証明書を盗まれたとして被害届が出ていたが、府警や地検は人定の誤りを見逃した。

　地検は刑事裁判を打ち切る公訴棄却を大阪地裁に申し立て、地裁は１２日の判決で認めた。地検はその後、少女を家裁送致した。

府警は女性に事情を説明して謝罪したという。府警の津川浩徳刑事総務課長は「身分証明書をうのみにしており、家族にあたるなどより緻密な捜査を尽くすべきだった」と述べた。

　地検の佐竹毅刑事部長は「あってはならない事態。今後は確認を徹底し、再発防止に努める」とした。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230412-OYT1T50241/