インドネシア人女性「私はゼロから日本語を勉強して、看護師も育児も大学院の勉強もしてる。やらない、出来ないは甘え」

看護師も大学院も育児も…私は前へ行く　日本で見つけたIKIGAI

家族や友人と離れて5千キロ。もし異国の地で生活するとしたら、何を「よりどころ」にしますか。日本で看護師として、学生として、母として、様々な壁に向き合ってきた女性は、一から広島で「よりどころ」を築いてきました。人と出会い、夢を見つけ、彼女が支えとしたものを聞きました。

「インドネシアに帰りたいと思うのは、今やね」

来日15年目。日本語ゼロから看護師のキャリアを積んで来たテレシア・マリア・トジ・ピオさん（41）が、苦笑した。記者と知り合って15年、初めて聞いた弱音だった。

目前に立ちはだかる「ワンオペの壁」。

40歳で授かった長女マヤちゃん（一つ）を預けたかった保育園から11月、落選が知らされた。ポーランド人の夫は日本各地を転々とする風力発電のエンジニアで、単身赴任中だ。

もし母国なら、家族に頼れる、メイドさんやシッターも割安だ。育休から復帰して、看護師と大学院生の二足わらじでかなえたい「志」もあるんだ――。

弱気を隠すように豪快に笑い、「日本のママもやれるんだから、私もがんばる」。礼儀や規律、他者を重んじる心を育てる日本の教育を信頼しているから、「娘は日本で育てたいんよ」。

20代の頃の夢は、海外で働くこと。欧米に渡航する先輩看護師たちに憧れた。インドネシアと経済連携協定（EPA）を結んだ日本が募集したプログラムを知って、「一番早く渡航できる」と応募した。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASR143270QDRULEI008.html?iref=sptop_7_01