EU「ウクライナの難民は受け入れる。白人のキリスト教徒だから。中東やアフリカからの難民とは違う」

このような人種による命の選別は、現場レベルで、よりあからさまに行われているようだ。同じウクライナから退避する人々であっても、肌の色の違いによって優先順位がつけられているという。

ウクライナには移住してきた外国人も住んでおり、彼らもまた戦火を逃れるべく国外への脱出を図っている。
だがアフリカからの移民の中には、「黒人だから」との理由で国境を越えさせてもらえない人たちがいると、英紙「インディペンデント」が報じている。

2009年から家族でウクライナに暮らすナイジェリア人男性のオサルメンは、国境を越えるバスに乗ろうとしたら、
「黒人はダメだ」と運転手や軍人に言われ、引きずり降ろされたという。彼の妻や3人の子供たち、ほかの黒人たちも乗せてもらえなかった。

「私たちを拒んだ人たちの目に、血走ったレイシズムを見ましたよ。彼らは自分たちが助かることしか考えず、その過程で人間性を失っていた」

オサルメン一家はいまもウクライナの首都キエフの駅に足止めされている状態だという。

インディペンデント紙によると、ウクライナの大学は学費が比較的安いため、とくにアフリカ大陸からの留学生が多い。
最も多いのはモロッコ人留学生の約8000人、次いでナイジェリア人が4000人ほどだ。

そんなアフリカ人留学生の1人であるンゼも、キエフで列車に乗ることができず、ボーランドとの国境まで何時間も歩いたという。

「私たちアフリカ人が下等な人間として扱われているのは明らかです」と話すンゼが、
キエフの駅で列車を待つ人々の列で見た「人種ヒエラルキー」は、白人の子供、白人女性、白人男性、そして最後にアフリカ人の順番だったという。