日本人すごい＝俺すごい「集団ナルシシズム」の危険性

「単なる部族主義とは違う」集団的ナルシシズムの本質とは？

自分が属するグループは非常に優れており、尊敬されたり、特別扱いを受けたりする権利を持っている。にもかかわらず、「他者はそれを理解していない」と信じ込む心と「優位性が認められるべきだ」と周囲に知らしめる傾向。それが集団的ナルシシズムだと、米誌「アトランティック」は説明する。

この傾向は、宗教や政治、性別、人種、民族、スポーツチーム、クラブ、カルトなど、「あらゆる種類の集団で発生する可能性がある」。

2005年よりこの分野を調査し、集団的ナルシシズムの信念の重症度を測定する方法を開発した心理学者のアニエスカ・ゴレック・デ・ザヴァラは、同紙にこう語っている。

その点で、集団的ナルシシズムは「単なる部族主義ではない」。また、愛国心も集団ナルシシズムであると、必ずしも言えない、と。

彼女によれば、集団的ナルシシズムの本質は、グループ内の忠誠心よりも、「グループ外に対する偏見と憤り」にある。

ナルシシズムというと、自己陶酔的である印象が強い。しかし、実際には周囲の評価に影響を受けずに自己に陶酔しているわけでない。むしろ、それができないこと、つまり、自分の価値に対する不安が、集団ナルシシズムに向かわせる原動力になっているという。

自分の価値に対する不安。それを満たすために“優れた”集団の価値に依拠するわけだが、そうすることで自尊心を改善することができるかというと、決してそうではないようだ。

もちろん、そうすることである程度の充足感は得られる。少なくても、そのグループ内の人々に承認されれば、満たされていなかった承認欲求は多少和らぐ可能性がある。

しかし、ナルシシズムの根本が他者に対する「偏見と憤り」である以上、集団に属そうとそれが消えることはない。かえって悪化、つまり他者に対する「偏見と憤り」が増幅する傾向があるという。

“優れた”集団の偉大さが、他の集団から評価されないと、“優れた”集団に属する自分の偉大さが評価されていないのではないかという不安はさらに増幅する。

そうなれば、もともと耐性の低い、傷つきやすい感情は荒れに荒れ、自己防衛本能として他者や他の集団への憤り、強いては攻撃を強めてしまう。これが、自己のナルシシズムを悪化させてしまうメカニズムであり、結果、時としてその憤りは暴力などの極端な形として現れると、彼女は言う。

たとえば、ある調査によると、集団的ナルシシズム度が高いスポーツファンは、応援するチームに関する“批判的な”ニュースレポートに脅かされていると感じる可能性が高く、それを書いた者や報じた者を「傷つけたい」「懲らしめたい」という感情を抱く傾向があったという。集団ナルシシズムが広がることで懸念される、最も大きな問題はまさにここにある。

では、グループのナルシシズムの広がりを抑えることは可能なのだろうか。

グループの優位性、他者を打ち負かすことへの執着を手放す

これに対し、彼女は、感情トレーニングを行うことで「必ずしも避けられないものではない」との見解を示している。

彼女が関わったある調査では、集団ナルシシズムの傾向がある人たちに、否定的な感情を抑えて感謝の気持ちを育む力を強化するための6週間の感情トレーニングに参加してもらったところ、彼らはトレーニング後、性差別や同性愛嫌悪、また移民に対するネガティブな偏見を発動させにくくなったことが確認されているという。

このトレーニングの影響がどのくらい続くかについては明らかになっていない。しかし、この研究は、感謝の念や他者や他の集団への思いやりを育むことで、集団ナルシシストは少なくても避けられないものではないことを示唆している。

「人は、感謝、畏怖、思いやりなどの自己を超越した感情を育むことができる」

また、それは自己が属するグループの優位性への執着を手放すトレーニングでもある。そうすれば、他者を打ち負かすことへの執着も自ずと消えていくという。

「愛国心は必ずしもグループナルシシズムではない」と彼女が考える理由は、愛国心を持つ者が必ずしも他のグループや国を打ち負かすことや、他の国より優れていると見なされることに執着していないからだ。「自身が生まれ育った文化に健全な誇りを持つことは可能だ」

同様に、それはあらゆる種類の集団で可能だと、彼女は説く。

https://courrier.jp/cj/267491/

クソワラタ❗＼(^o^)／(笑)