ウクライナ外相「ロシアの崩壊を恐れるな。核戦争を恐れるな」西側諸国に呼びかけ

ウクライナ外相「ロシア崩壊を恐れる必要なし」 WSJインタビュー

　【キーウ（ウクライナ）】ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、戦争の結果、ロシアが国家として崩壊する事態を恐れないよう西側同盟国同盟国に呼びかけた。また、ウクライナにはロシア領内の標的を攻撃する権利があると主張し、ウクライナはクリミアなどロシアに占領された地域を同国の支配下に置いたままにする和平合意を受け入れることは決してないと語った。ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）とのインタビューに応じた。

　ウクライナの西側の同盟国はウクライナを敗北させないことで一致しているが、同国軍の本格的勝利という目標を全ての国が受け入れているわけではない。ウクライナ政府は今年2月の侵攻開始以降に失った領土だけでなく、2014年にロシアに併合されたクリミア半島と、東部ドネツク州とルガンスク州の一部地域の奪還を目指している。

そうした目標が実現すれば、核武装したロシアの国家基盤がひどく揺らぎ、同国の分断と混乱を招き、世界に予想し得ない影響をもたらしかねないと警戒している国もある。アントニー・ブリンケン米国務長官は5日、2月24日の侵攻開始以降でロシアに占領された地域の奪還に向けてウクライナを支援することに集中する方針を示した。

　クレバ外相は米国がウクライナ支援を継続すると自信を示した上で、ロシアの存続を巡る懸念で1991年のジョージ・H・W・ブッシュ米大統領（当時）の「チキンキーウ」と呼ばれる演説が思い起こされたと語った。ブッシュ氏はこの演説でソビエト連邦を存続させ、ソ連からの独立を求める「自滅的ナショナリズム」を自制するようウクライナ人に呼びかけた。

　クレバ氏は首都キーウでのインタビューで「私はロシア崩壊を恐れないよう世界に求める。歴史の歯車が回り始めれば、それを変えられる人はいない」と語った。

　さらに「ロシアを存続させ国際社会の正規の一員になるように支援する方法を考えるのでなく、ロシアが国際社会の正規の一員にはなれないという事実を受け入れるときが来た」とし、「私はロシアが崩壊しても世界が崩壊するとは思わない。（1917年の革命で）ロシア帝国が崩壊したように、ロシアを壊すのは同国の人々だ」と話した。

　ロシアは多民族国家で、北コーカサス地方のイスラム教徒の多い地域などでは1990年代に激しい分離独立運動が起きた。

https://jp.wsj.com/articles/ukraine-says-western-allies-shouldnt-fear-russia-falling-apart-11670536749