イタリア土産にヒトラーのマグカップはいかが？ムッソリーニやスターリンもあるよ！

イタリア土産にヒトラーのマグカップ？　観光客がゾッとするも、なくならない理由

イタリア北部ヴェネト州の人気ビーチリゾート、ビビオネのスーパーマーケットには、七三分けにちょび髭の顔がショーウィンドウに並んでいる──。大手メーカーのパスタやグラッパ酒と一緒に陳列されているのは、ヒトラーの顔がプリントされたマグカップである。

このようなグッズはしばしば観光客の目に留まり、SNSで拡散されては話題となり、これまでも国内外のメディアに取り上げられてきた。

今夏、ビビオネのスーパーで買い物をしようと訪れた男性も自分の目を疑い、「このような商品が自由に陳列され、何の規制もされていないことが信じ難い」とヴェネト州版の伊紙「コリエラ・デラ・セーラ」にコメントしている。彼は「別の店で買い物をする」とその場を立ち去ったそうだ。

しかし、店主によると実際には大勢の観光客がこの商品を購入し、その中にはオーストリアやドイツ人も多く含まれると説明する。店を営む側としては「商品が置いてあるのは購入する人がいるから」というわけである。

単なる「ビジネス」と割り切り、「ヒトラー以外にも、レーニンやスターリンなどのグッズも置いてある」とオーナーは言う。

ヒトラーのマグカップは数年前にもイタリアを訪れたイギリス人観光客のツイッターで話題となり、英紙「メトロ」で取り上げられた。「ファシストが増えているとは聞いていたけれど、地元のスーパーでこんなマグを売っているのはショックだわ」と投稿された写真には５.９ユーロ（約800円）と表示する値札も写っていた。

同紙にはイタリア南部のプーリアで、ヒトラーのワインラベルを見かけたという観光客の例もあげられた。この手の商品はイタリア各地の観光地で売られ、30年以上前から続くロングラン商品でもある。どのオーナーも「ビジネスであり、私はファシストでもナチでもない。多くの人々が求めるから売り続けている」とコメントする。

同じくヴェネト州のリゾート地、イェーゾロでムッソリーニなどが描かれたワインボトルを売っている店主は、毎年夏のシーズンには10ユーロ以上（約1300円）のワインボトルが1000本以上は売れると説明する。

自治体によると商業目的として販売されているこのようなグッズは「法律で規制できない」。それでも「人々に不可解な思いをさせる」ということで、副市長が直々に店に足を運び、ビビオネの店主と相談するらしい。

https://courrier.jp/news/archives/260083/