アメリカ、世界の圧力に屈し今世紀最大の醜態を晒す

拒否権行使で批判浴び…アメリカ、イスラエルへの外交修正し「ガザでの戦闘中断」要求

　【ニューヨーク＝金子靖志、エルサレム＝酒井圭吾】国連安全保障理事会は２４日、イスラエルとイスラム主義組織ハマスが衝突するパレスチナ自治区ガザの情勢に関する閣僚級会合を開いた。米国のブリンケン国務長官はガザへの人道支援を優先すべきだと主張し、戦闘中断の検討を求めた。

米高官が公の場で、戦闘の中断に言及したのは初めて。ブリンケン氏は会合でハマスの攻撃を「野蛮なテロだ」と批判しつつ、「ガザの人々に食料や水などの必要な支援を届けなくてはいけない。人道的な中断を検討しなければならない」と述べた。戦闘が中断されている間に、持続的な人道支援を提供する仕組みを構築する考えも示した。

イスラエルの本格的な地上作戦を全面支持する米国は、１８日の安保理会合での戦闘中断を求める決議案採決の際、「イスラエルの自衛権が明記されていない」として拒否権を行使し、批判を浴びた。ブリンケン氏の今回の発言で米国はガザへの人道支援を重視する姿勢をより鮮明にし、これまでの外交姿勢を修正した。

　２４日の安保理会合で、国連のアントニオ・グテレス事務総長はハマスを非難する一方、イスラエルの空爆によるガザでの人道危機に「明らかな国際人道法違反への深い憂慮」を表明し、停戦を求めた。イスラエルのエリ・コーヘン外相は「イスラエルの破壊と排除を求める相手とどうやって停戦しろというのか」と猛反発した。「我々は国連との関係を見直す」と批判し、グテレス氏の辞任を求めた。

　ガザ情勢をめぐっては、欧州連合（ＥＵ）が２６～２７日の首脳会議で戦闘の中断を求める声明を出す見通しだ。イスラエルは大規模な地上作戦を近く始める姿勢を崩しておらず、空爆を強化している。イスラエル軍によると、空爆は２３～２４日の２４時間で４００回に上った。ガザ保健当局によると、この間に７０４人が死亡した。

　物資不足が深刻化しており、国連パレスチナ難民救済事業機関（ＵＮＲＷＡ）によると、ガザの燃料は２５日夜までに枯渇する。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20231025-OYT1T50171/